今月号の痛みの相談は30代のランナーの男性から。「ランニング中に臀部に痛みと違和感を覚える」というものだ。はたして、この症状にはどのように対処すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q ランニング中に、決まって臀部から太ももにかけて痛みや違和感が出ます。整形外科の診断では梨状筋症候群ということで、ブロック注射で痛みを抑えてもらったのですが、それから1、2週間経ってもなかなか症状が改善しません。どうしてでしょうか。
A 梨状筋症候群とは、激しい運動などによる機械的刺激により梨状筋と坐骨神経の間に摩擦が生じ、神経炎などが生じてしまう症状のことを指します。整形外科の治療で効果が上がらないのであれば、臀部の表層にある大殿(ルビ・だいでん)筋、深層にある梨状筋のいずれか、あるいは両方の筋肉がこわばっている可能性が高いと思います。大殿筋や梨状筋は主に歩いたり、走ったりするときに使う筋肉ですから、ジョギングによる過負荷の蓄積で筋緊張が強くなってしまったのではないでしょうか。
Q どうすれば改善できるのでしょうか。
A 筋肉治療で大殿筋や梨状筋をしっかりと緩めなければなりません。この場合、とくに注意しなければいけないのは梨状筋です。というのは、梨状筋は深層に位置しており、セルフマッサージだけでは思うように改善しないからです。また、痛みが大殿筋のこわばりによるものなのか、梨状筋のこわばりによるものなのかを鑑別するのも難しいので、なるべく早めに筋肉専門の治療院で施術を受けるようにしてください。
Q この症状の予防策はあるのでしょうか。
A 股関節周囲のストレッチ、ランニング後のテニスボールマッサージ(床にテニスボールを置き、その上に座るようにして臀部の筋肉を押圧刺激する)、ランニング後に湯船に浸かって臀部を温めるといった予防策があります。ただし、先述したように梨状筋はほかの筋肉と比べてセルフマッサージやストレッチの効果が出にくい部位ですので、臀部にしびれを伴う鋭い痛みが続くようでしたら、すぐに治療院に足を運び、継続的に筋肉のケアをしてもらうといいでしょう。