今回の相談は「ランニングをつづけているうちに、踵の上のあたりに強い痛みを感じるようになった」というもの。
Q ランニングをつづけているうちに、踵の上のあたりに強い痛みを感じるようになりました。これはどういう症状なのでしょうか。
A 強い痛みの場合、アキレス腱炎またはアキレス腱周囲炎の可能性が高いでしょう。その名の通り、アキレス腱そのもの、あるいはアキレス腱の周囲組織に炎症が生じている状態で、走り過ぎによるオーバーユースなどが考えられます。
Q 早く治すにはどうすればよいでしょうか。
A まずは安静にすることが第一です。そして完治するまではランニングを控えてください。そのうえで、患部へのアイシングや鎮痛消炎剤・湿布を活用し、場合によっては医師の処方によりステロイドを使用することで、炎症を早期に鎮めることが可能になります。
ただしアキレス腱炎は突然起きるのではなく、関連する筋肉のこわばりや運動時の負荷の蓄積が炎症の引き金になります。したがって、再発を防ぐには炎症を抑えると同時に、アキレス腱やその周囲の筋肉(腓腹筋やヒラメ筋など)のこわばりを緩和させることが重要です。
Q 治療にはどれくらいの期間がかかりますか。
A アキレス腱周囲炎は比較的回復が早い一方、アキレス腱自体の炎症は治りにくく、こじれると数カ月から半年、ときには1年以上症状がつづくケースがあります。もっとも「アキレス腱周囲炎だから安心」かというと、けっしてそのようなことはありません。周囲炎になると患部をかばう動きによって、結果的にアキレス腱そのものに負担が集中し、アキレス腱炎へ進行していくリスクがあるのです。そのような事態を避けるためにも、筋肉治療の専門院などで定期的にケアを受けることをおすすめします。
Q できるだけはやくランニングを再開したいのですが。
A 「痛みが引いてきたら少しずつ再開してよい」と考える方もいますが、炎症による腱の痛みは再発や慢性化する可能性が非常に高い症状です。まずはしっかり完治させることを優先しましょう。
Q 傷めたアキレス腱をストレッチで伸ばすのは有効でしょうか。
A 炎症が残っている段階でのストレッチは、軽い刺激でも悪化の要因になりうるので禁忌です。炎症が完治しランニングを再開できる状態になってから、予防目的でストレッチを取り入れてください。

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