今号の相談は「正座をすると膝が痛むので整形外科を受診したが、回復の兆しがいっこうにあらわれない」というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 正座をすると膝が痛むので整形外科を受診したところ、変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減り痛みや腫れが生じる病態)と診断されました。ヒアルロン酸注射などの治療を受けているのですが、いっこうに回復の兆しがありません。本当にすり減った軟骨が痛みの原因なのでしょうか。
A 通常、整形外科ではレントゲンで膝の骨や関節などの構造異常を調べますが、経年による骨や軟骨の変性が痛みの原因になるという生理学的事実はありません。むしろ痛みの原因は筋肉のこわばりによるものがほとんどなので、整形外科で治療を受けても効果があらわれない場合、筋肉治療の専門院を受診してみることをおすすめします。
Q 私の場合、正座をしたり、深くしゃがんだりすると膝に激痛が走るのですが、具体的にどの筋肉がこわばっているのでしょうか。
A 実際に筋肉を触診していないので正確なことはわかりませんが、もしかしたら膝裏からふくらはぎにかけての筋肉に異常があるのかもしれません。とくに膝裏に付着する腓腹筋内外側頭のこわばりは臨床上見落とされやすい筋肉なので要注意です。
Q 具体的にはどのようにして患部を特定していくのですか。
A まずは患者さんからしっかりと症状を伺って膝の具合を正確に把握します。そしてそれをもとに動作検査を行っていきます。これはどのような動作で、どの部位に、どんな症状が出るのか患者さんにその場で再現していただきます。この際に患者さんがうまく自分の症状を伝えることができるならば、どの筋肉に原因があるのかおおよその見当はつきます。また、慢性化しているケースでは膝がむくんでいることも多いので、視覚的な情報も重要になります。
Q 治療にはどの程度の期間が必要になるのでしょうか。
A 長年にわたり膝の痛みが続いているケースでは、患部の筋肉を軽く触れただけでも激痛が走る状態になっています。そのため、週に数回の通院を数カ月つづける覚悟が必要です。また、痛みに関連する筋肉が複数部位におよぶため、1回当たりの治療時間もそれなりに長くなることが予想されます。とはいえ、その状態を放置しておくとさらに症状が悪化し、ひいては膝の変形や歩行にも支障が出かねません。一日も早い回復を目指して、筋肉をしっかりと診てくれる治療院を受診していただきたいと思います。