今月号の痛みの相談は50代の男性から。「肩関節の石灰化で腕が挙がらなくなってしまった」というものだ。はたして、この痛みにはどのように対処すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 腕を挙げると激痛が生じるようになりました。整形外科で診断してもらったところ、腱板の「石灰化」という診断を下されました。その後、通院しながら投薬治療などをつづけているのですが、依然として痛みが引きません。
A 石灰化とは、身体の中で血液中のカルシウムが沈着してしまう現象のことです。高齢の方によく見られる現象のひとつで、レントゲン撮影をすると、患部に白いカルシウムの沈着した塊が写るのですが、整形外科ではこの塊が原因で痛みが生じると診断することが多いようです。
しかし、実際のところ石灰化が痛みの原因になっているかどうかは不明です。現に今までの臨床例の中でも、石灰化による痛みと診断されていた患者さんが、当院で筋肉の施術を受けたところ、すっかり痛みがなくなったケースがありました。つまり、石灰化による痛みではなく、筋肉のこわばりによる痛みである可能性も多々あるのです。ですから、「石灰化」という診断で痛みが治らない場合は、筋肉治療を試す価値はあります。
Q どのようにすれば石灰化やそれにともなう筋肉のこわばりを予防できるのでしょうか。
A 石灰化や筋肉のこわばりの主な原因は運動不足です。とくに仕事などで座りつづけている人は要注意で、負担のかかりやすい首や肩の周囲にカルシウムが沈着したり、その周辺の筋肉がこわばりやすくなったりします。
ですから、座り仕事が多い人はできるだけ小まめに身体を動かすようにしてください。とくに首や肩に負担がかかりやすいので、ひと休みする際には首や肩を回したり、ストレッチしたりして、自主的に筋肉をほぐすようにするといいでしょう。
また、普段ほとんど運動をしない方は、日頃からウォーキングなどで身体を動かすように心掛けてください。とはいえ、無理な運動は身体に余計な負担をかける恐れもありますので、筋肉専門の治療院でケアしながら、徐々に運動量を増やしていくといいでしょう。