今月号の痛みの相談は30代の女性から。「物を食べるときに顎関節周辺が痛い」というものだ。はたして、この痛みにはどのように対処すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 物を食べるときに顎の関節周囲が痛みます。口腔外科では顎関節症という診断を受けたのですが、これはどういった症状なのでしょうか。
A 顎関節症とは「あごが痛い」「あごが鳴る」「口が開けづらい」などが主な症状で、あごや咀嚼筋(咀嚼運動に関わる筋群の総称)などが痛くなる慢性疾患のことです。「関節症」という言葉のニュアンスや口を開閉するときにクリック音が生じたりすることから、骨や関節の異常だと思われがちです。しかし、実際にはあごを動かす筋肉のこわばりが原因であると私は考えています。クリック音についても、骨や関節ではなく、こわばった軟部組織(筋肉)が擦れ合う際に生じる音だと考えれば、臨床的にも納得いきます。現に骨や関節の異常であれば、高齢者がこの症状になりやすいはずなのに、顎関節症になるのはほとんどが若い女性です。
Q どういった原因で顎関節症になるのでしょうか。
A ストレスの蓄積が原因で、寝ている間に歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりしているうちに咀嚼筋がこわばり、顎関節症になってしまうことがあります。そのため、仕事などでストレスを抱えている人、日常生活で緊張しやすい人などがこの症状になりやすいと思われます。最初のうちは痛みをともなわないのですが、症状が悪化すると、「痛くて口を開閉できない」という状態になってしまうので要注意です。