今回の痛みの相談は30代の男性から。相談内容は「足首の捻挫の痛みがなかなか治らない」というものだ。そこで、今号ではソフィア整骨院の古川ぶんと先生に捻挫や骨折、脱臼などの治療法について教えてもらった。
Q 足首を捻挫してしまったのですが、そもそも捻挫とはどういった病態なのでしょうか。
A 「捻挫」とは、関節を補強する靭帯などの軟部組織損傷のことです。靭帯損傷そのものは自然治癒力で回復するので、一般的には炎症を抑えるために患部を冷やし、また患部の動揺を抑えるために固定するといった治療を行います。あとは安静を心掛けていれば、10日~2週間で回復します。
Q 整形外科でそのような治療をしてもらったのですが、1ヶ月経っても痛みが引きません。
A 患部をかばって歩いているうちに、他の部位の筋肉が緊張してしまい、その新たに生じた二次的な痛みを強く感じているのでしょう。治療で患部をしっかり固定すると、尚一層筋肉が緊張してしまい、患部以外の痛みを併発してしまう可能性が高いのです。例えば、足首の外側を捻挫してしまうと、それをかばっているうちに足の甲からすねのあたりの筋肉が緊張してしまい、痛みを感じるようになるのです。
事実、捻挫をしてすぐに来院された患者さんでも、患部周囲の筋肉がすでに緊張してしまっているケースもあります。ケガをして2,3日経ってから来院される方の場合はなおのことです。その状態を放置していると、1ヶ月経っても痛みが引かないといったことにもなりかねません。ですから、当院の治療では患部だけでなく、二次痛の予防も兼ねて周辺の筋肉も治療するようにしています。
Q 捻挫だけでなく、骨折の場合も同様のことが言えそうですね。
A その通りです。骨折の治療も患部を固定するリスクとして、周辺の筋肉がこわばりやすくなるので注意が必要です。例えば手首周辺の骨折の場合、整形外科では1ヶ月以上固定するのが通例ですが、当院では2~3週間ほどで固定を外すようにしています。長期間の固定は筋肉の強い緊張を招き、関節の拘縮を生じさせてしまうからです。
脱臼のケースも同様で、単に関節の状態を元に戻せばいいと言うわけではありません。
脱臼した際に併発した筋の緊張を治療しなければ十分な治療とは言えないでしょう。とは言え、自分で患部周辺をマッサージするのは不安でしょうから、痛みが長引く場合には、筋肉治療を専門とする治療院に相談してみて下さい。