今号の相談は「膝の内側がヒリヒリと痛む」(60代女性)というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 膝の内側がヒリヒリと痛むので整形外科を受診したところ、変形性膝関節症と診断されました。湿布などの鎮痛消炎剤が処方されて数カ月が経過したのですが、いまだ快方に向かいません。それどころか、歩行時や階段を下りるとき、イスから立ち上がるとき、寝返りを打つときなどに強い痛みを感じるようになりました。これはどういう症状なのでしょうか。
A ヒリヒリとした痛みは炎症性疾患のサインであるため、おそらく鵞足(ルビ:がそく)炎を発症しているのでしょう。鵞足とは膝の内側下に位置し、縫工筋、半腱様筋、薄筋といった筋肉の終末腱が骨に付着している部位で、そこに炎症が生じているものと思われます。
変形性関節症と診断されたということでしたが、そもそも加齢による骨や関節などの構造上の変性と実際の痛みとの間に因果関係はありません。また、痛みそのものは炎症によるもので間違いありませんが、その背景には鵞足部に付着している筋肉のこわばりがあり、それが長期的な痛みの要因になっていると考えられます。
Q どのような治療を受ければ痛みから解放されるのでしょうか。
A 初期の鵞足炎は、湿布薬などの鎮痛消炎剤を貼布して安静を保てば、1~2週間ほどで治癒するケースがほとんどです。しかし、今回のご相談のケースのように痛みが長期にわたる場合、筋肉のこわばりが根本的な原因になっていることも珍しくありません。
一般的に、整形外科領域では筋肉を治療する概念がないため、どうしても筋肉のこわばりが見逃されやすく、膝の痛みが慢性化する傾向にあります。そのため、痛みが長期継続する場合は、根治を目指し筋肉治療の専門院で施術を受けるのが一番です。現に当院の患者さんにも同様の症状の方がいらっしゃいますが、着実に治療の成果があらわれています。
Q どのような人がこういった症状になりやすいのでしょうか。
A 鵞足炎はランナーをはじめ、運動をやりすぎる方に多発する症状といわれていますが、実際の臨床の場では、性別や年齢を問わず運動不足気味の方に多いように思います。運動不足になると筋肉のこわばりが改善されにくくなるため、症状が長期化してしまうことが多いのです。そういう意味では、ウォーキングやランニングなどを日常生活に取り入れることも痛みの予防につながると思います。