今月号の相談は「自転車でフードデリバリーの仕事をつづけていたら、首や肩が痛むようになってきた」というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 自転車でフードデリバリーの仕事をはじめたのですが、最近、首や肩が常に痛むようになってきました。これはどういった症状なのでしょうか。
A いわゆる「ランドセル症候群」と呼ばれる症状です。デリバリーバッグを日常的に背負うことによって、首から肩にかけての筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、斜角筋など)が慢性的にこわばり、痛みやしびれを生じる症例です。その俗称からもわかる通り、もともとは小学生が重いランドセルを背負うことによって生じるケースが多く、昨今ちょっとした社会問題になっています。コロナ禍でフードデリバリーに従事される方が急増しましたが、それにともない同様の症状に悩まされる方も増えているものと思われます。
Q 症状が悪化するとどのようになるのでしょうか。
A 痛みが悪化していくのはもちろん、関連症状として腕や指先にしびれが生じることもあります。また、自律神経に乱れが生じ、不定愁訴や心のトラブルに発展することもあります。
Q 痛みを解消するにはどのようにすればよいのでしょうか。
A できることなら回復するまで安静にするのがベストですが、仕事となるとそうもいきませんよね。であれば、定期的に筋肉治療の専門院に足を運び、身体をシッカリとメンテナンスするよう心がけてください。安静を保てないので治療効果は落ちるかもしれませんが、手入れをすることによって少しずつ快方に向かうはずです。
Q 予防法はあるのでしょうか。
A スポーツタイプの自転車の場合、どうしても背中が丸くなり、首肩、腰などに大きな負荷がかかってしまうので要注意です。できれば腰が立つようなタイプの自転車にしたり、電動アシスト付きの自転車に乗り換えたりするのをおすすめします。
それから、デリバリーバッグを体幹に密着させるように背負うことも大事です。たとえば体の前方に留め具が付いているタイプのものを選べば、首肩にかかる負荷を分散させることができます。また基本的なことですが、肩ベルトの長さにも注意を払ってください。肩ベルトを長くし過ぎると、重さで重心が下がり首肩に負荷が集中してしまいます。バッグが背中に密着するよう肩ベルトの長さを適切に調整し、少しでも負荷を分散させる工夫をしてみてください。