今月号の相談は「日常的にマスクを着用するようになってから、肩こりに悩まされるようになった」というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q コロナ禍で日常的にマスクを着用するようになってから、どういうわけか肩こりに悩まされるようになりました。マスクの着用と肩こりには何か因果関係があるのでしょうか。
A 従来の肩こりは、後首から肩部にかけての僧帽筋が緊張するタイプがほとんどでした。しかし、最近の肩こりは斜角筋や胸鎖乳突筋、大胸筋がこわばるといった前首部緊張型が多く、その背景にはマスク着用をはじめとするコロナ禍ストレスが関係しているように思われます。
Q マスクの着用は身体にストレスをおよぼすのでしょうか。
A 恒常的なマスク着用は、顔の皮膚や筋肉への外的ストレスになります。そのため、マスクを長時間着用していると、知らず知らずのうちに顔への皮膚刺激を通じ筋肉をこわばらせてしまうことになるのです。しかも、常時マスク着用によるうっとうしさは自律神経にも悪影響を与え、感受性の強い方などは、肩こりにかぎらずさまざまな自律神経症状を発症する恐れがあります。
Q たとえば、どのような症状を生じる可能性があるのでしょうか。
A 肩こりのほか、無意識に歯を食いしばることによるアゴ周囲の筋緊張も考えられます。この状態を放置するといずれは顎関節症となり、開口障害や痛み、頭痛、睡眠障害を引き起こす可能性もあります。また、鎖骨下の大胸筋を押圧して強い痛みがあるときも注意しなければなりません。その場合は日常的なマスク着用で呼吸が浅くなっていたり、胸筋の過緊張で猫背になっていたりするサインかもしれません。いずれにせよ、こういった違和感を覚えたら、まずは筋肉治療の専門院で施術を受けてみるといいでしょう。
Q マスク肩こりを予防するためのセルフケアなどはありますか。
A セルフケアで有効なものとして、前首部を伸ばすストレッチ、アゴ周囲のセルフマッサージ、大胸筋マッサージなどがあげられます。とにかく、今後も日常的にマスクを着用しなければならない日々がつづきます。マスクと上手く付き合っていくためにも、マスク肩こりの影響が出そうな筋肉は十分にケアしてほしいと思います。