今月号の相談は「整形外科で脊柱管狭窄症という診断を受けたが、いっこうに回復しない」というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 腰から足にかけて痛むので整形外科を受診したところ、脊柱管狭窄症と診断されました。しかし、治療をつづけてもなかなか痛みが引きません。これはどのような症状なのでしょうか。
A 脊柱管の狭窄とは骨や椎間板などの変形にともない、脊柱管(脊髄が通るトンネル)が圧迫された状態のことです。ただ、痛みの生理学から考えると、脊柱管が圧迫されて足腰に痛みが生じるような事実はありません。整形外科では、足腰の痛みの原因を骨や椎間板などの構造的異常と診断し、手術を選択するケースもあります。しかし、実際には手術が成功しても痛みが治まる可能性は低く、結局、鎮痛剤の処方やブロック注射などの保存療法(手術以外の治療法)に終わってしまいがちです。
Q では、この症状の本質はどういったものなのでしょうか。
A おそらく筋・筋膜性疼痛症候群だと思われます。これは筋肉や筋肉を覆う筋膜の異常によって引き起こされる痛みの症状です。こうした軟部組織の機能異常による痛みは、近年になってクローズアップされてきたため、医科領域での研究はあまりすすんでいません。そのため、整形外科ではこうした症状が見過ごされてしまうのです。
Q 何が原因で筋肉に異常が生じているのでしょうか。また、治療方法はあるのでしょうか。
A その方の生活習慣により発生機序は異なりますが、痛みの原因は筋肉のこわばりにあります。そのため、当院では触診にて患部の筋肉を的確に探し出し、そのこわばりを集中的に施術していくアプローチをとっています。
Q 筋肉が炎症を起こしている可能性はないのでしょうか。炎症の場合は治療法が異なると思うのですが。
A 患部が熱を持ったり、腫れたりしていれば炎症の可能性がありますが、そういった所見がなければ炎症性の痛みではありません。また、炎症を起こしている場合は、アイシングなど別の治療法を選択することになります。
Q 筋・筋膜性疼痛症候群は腰や足だけに発生するものなのでしょうか。
A この症状は全身の筋肉に生じる可能性があります。しかし、整形外科では筋肉による痛みは診断がつきにくいので、改善の見込みが立たない場合、ぜひとも筋肉治療の専門院で施術を受けてみてください。当院にも同様の悩みを持った方々が数多く来院されますが、その多くが快方に向かっています。