今月号の相談は「歯科で顎関節症(がくかんせつしょう)の治療を受けているが、なかなか治らない」というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 現在、歯科で顎関節症の治療を受けているのですが、なかなか快方に向かいません。そもそも顎関節症とはどのような症状なのでしょうか。
A 顎関節症は顎関節やあごを動かしている咀嚼筋のこわばりによって引き起こされる疾病で、具体的な症状としては「あごが痛む」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」などがあげられます。しかし、歯科領域では歯列矯正、マウスピースの着用をすすめることはあっても、痛みの原因である咀嚼筋を直接治療することはありません。痛みをはやく取り除くには、筋肉治療で咀嚼筋をゆるめるのが一番効果的だと思います。
Q どういう生活や習慣が原因となって、咀嚼筋がこわばってしまうのでしょうか。
A 歯を食いしばるクセがある人、ガムや硬いものをよく噛む人などは、嚼筋咀への負荷が日常的に積み重なるので、顎関節症になりやすいと思います。また、ストレスにも要注意です。ストレスで無意識のうちに歯を食いしばったり、歯ぎしりしたりする頻度が増えれば、それが顎関節症の原因になってしまいかねないからです。実際、当院の患者さんのなかには、事故に直面した際のストレスや大学受験のストレスなどで顎関節症を発症してしまった方もいらっしゃいます。
Q 咀嚼筋の筋肉治療はどのように行うのでしょうか。
A 咀嚼筋はあごを動かす筋肉の総称で、その範囲は顔全体におよびますし、ときには顔面の筋肉だけでなく、首の筋肉が影響している場合もあります。よって、それら障害筋を一つひとつ触診し、こわばりを見つけてゆるめていくというのが基本的な治療のスタンスになります。咀嚼筋は治療効果が比較的分かりやすい部位なので、一回の治療でも改善を実感できるでしょう。顎関節症は歯科領域というイメージが強いと思いますが、実は筋肉の障害であることが多いので、ぜひとも筋肉治療を試していただきたいと思います。ただ、先ほど申し上げたとおり、ストレスや日常生活が原因となっていることが多いので、抜本的な改善をはかるには患者さんの生活習慣の見直しが一番重要になります。