今月号の相談は「痛みがあるときの筋トレやストレッチは有効か」というもの。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 腰に痛みが生じて整形外科を受診したところ、筋トレで腹筋や背筋を鍛えるようアドバイスを受けました。しかし、いざ筋トレで鍛えてもいっこうに症状は改善されません。どうしてでしょうか。
A 整形外科では、腰の痛みの原因は骨の構造的な異常によるものとする考え方が一般的です。そのため、弱った背骨を支えるにはその周囲の筋肉を鍛えるべきだというアドバイスになったのでしょう。しかし、そもそも一般の臨床現場でみられる腰、ひざの痛みは筋肉のこわばりを原因とするものがほとんどであり、それは筋力のあるなしとは別の話です。筋肉をいかに鍛えたところで、痛みが解消することはありません。実際、子どもは大人に比べて筋力はありませんが、だからといって腰やひざが頻繁に痛くなることはありませんよね。
Q それでは筋トレにはまったく効果がないのでしょうか。
A 効果がないどころか、逆に症状が悪化する恐れもあるので注意してください。良かれと思って筋トレをすることで、こわばった筋肉がさらに緊張し、なお一層痛みが強まる可能性があります。とくに痛みがあるのに無理して筋トレをつづけていると、痛覚神経が持続的に刺激されて痛みに対する感受性が亢進し、最終的には慢性痛に陥ってしまうこともあります。
Q では、ストレッチはどうでしょうか。筋肉のこわばりをゆるめることができそうなイメージがありますが・・・。
A たしかに、筋肉のこわばりをゆるめることは痛み治療の基本戦略になります。ただし、一般の方が自分の痛みがどの筋肉に由来するものなのか判断するのは難しいでしょうし、そのストレッチがどの筋肉をどのように伸展させているかを正確に理解してはいないと思います。そういった状態でやみくもにストレッチをしてしまうと、筋トレと同様、筋肉を余計にこわばらせてしまう恐れがあるので要注意です。いずれにしてもストレッチはあくまでもケア(予防)であり、キュア(治療)ではないことを肝に銘じてください。
なお、痛みの原因が炎症性疾患である場合、筋トレにしてもストレッチにしても症状を確実に悪化させてしまうので、さらに注意が必要です。とはいえ、自分がどういった症状なのか、どのような処置が適切なのか的確に判断するのは難しいので、筋肉専門の治療院で診断を仰ぐのが一番だと思います。