今月号の痛みの相談は「交通事故に遭って半年が経過したのに、依然肩や腕が重く、痛みや違和感が残っている」というもの。はたして、この症状にはどのように対処すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 半年前に交通事故に遭い、整形外科で治療を受けていたのですが、現在も肩や腕が重く、痛みや違和感が残ります。レントゲン検査ではとくに異常はないので途方に暮れています。これはどういった状態なのでしょうか。
A 事故後のケガは早期に適切な治療を行なえば、ひと月以内にほぼ回復します。半年もの間、痛みや違和感が持続しているということは、事故時のケガは回復したにもかかわらず、ストレスなどの精神的刺激が自律神経に影響をおよぼし、痛みを慢性化させている可能性があります。
交通事故によるケガの場合、事故時の恐怖や痛みが記憶に残って不安や抑うつ的になったり、事故後の保険会社とのやりとりなどで強いストレスを感じたりすることがあります。そこに日常生活における疲労、心労が重なったりすると、知らず知らずのうちに自律神経のバランスが崩れ、痛みが慢性化してしまうことがあるのです。しかも、痛みの性質として、長期化すればするほど局所から全身へ、また痛みに対する感受性も強まっていく傾向があるので要注意です。
Q 違和感のある肩や腕の筋肉をマッサージすることで改善するのでしょうか。
A 一概にそうとは言えません。実はこういったケースの場合、肩や腕の筋肉ではなく、首の筋肉に本質的な原因があることが多いのです。首には自律神経支配の筋肉が多く存在し、首の筋肉が強くこわばることで痛みが慢性化しやすいのです。試しに首の前面から側面を指で圧してみてください。強い痛みを感じるようなら、胸鎖乳突(きょうさにゅうとつ)筋や斜角(しゃかく)筋がこわばっているということです。そして、そのことが原因で筋連結している肩や腕の筋肉を二次的にこわばらせているのでしょう。ですから、まずは首の筋肉を集中的に治療することがポイントになります。
Q どの程度の治療で回復するのでしょうか。
A 症状が慢性化していますので個人差はありますが、通常5~10回ほど施術を受けて頂ければ良化を実感できると思います。先述した通り、痛みはこじらせるとそれだけ遷延化します。速やかに筋肉専門の治療院で診てもらうことをオススメします。