今月号の痛みの相談は30代のランナーの男性から。「ジョギングをはじめて半年くらいで、太ももの付け根が痛むようになってきた」というものだ。はたして、この痛みにはどのように対処すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q ジョギングをはじめて半年ですが、最近、走ると太ももの付け根あたりが痛むようになってきました。どういった症状なのでしょうか。
A 太ももの付け根にある腸腰筋のこわばりが痛みの原因だと思います。腸腰筋は腸骨筋、大腰筋、小腰筋の3つの筋肉で成り立っています。この筋肉は太ももを高く持ち上げ、股関節を曲げる際に重要な働きをしています。日常生活においては姿勢を保持したり、歩いたり、走ったりする際に機能するのですが、腸腰筋がこわばると痛みだけでなく歩行時に脚が前に出にくくなります。また、筋の異常が慢性化すると、場合によっては変形性股関節症のように骨や関節の変形をもたらし、外科的手術を選択せざるを得ない状況になります。最悪の状況を避けるためにも、やはり常日頃から筋肉のケアに注意を払ってほしいと思います。
また、日常生活で痛みを感じなくても、腸腰筋の疲労が蓄積していることはしばしばあります。たとえば階段を上るとき、あるいはお風呂に入ろうと浴槽をまたいだりするときに、鼡径部に違和感があったら腸腰筋がこわばっている兆候です。その場合はできるだけ早く筋肉専門の治療院を受診してください。
Q どうして腸腰筋がこわばってしまったのでしょうか。
A スピード系のトレーニングを行うと腸腰筋への負荷が著しく強くなり、痛みを生じることがあります。とくに、走りはじめて日の浅い方は、自分の実力を無視した速いペースで走りがちなので要注意です。まずはユックリと長く走れるように、基礎走力の土台作りに努めたほうがいいと思います。もちろん、そのためには各自に合ったトレーニングメニューを立てる必要があります。スポーツジムに通っている方はトレーナーに相談して、自分に合ったメニューを立ててもらうといいでしょう。また、腸腰筋がよくこわばる方はランニングフォームに問題がある可能性もあるので、専門家にフォームをチェックしてもらうといいかもしれません。