今月号の相談は30代のランナーの男性から。「ランニング中に太ももの裏側に痛みや違和感を覚える」というものだ。はたして、このようなケースではどのように対応すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q ランニング中に太ももの裏側に痛みや違和感を覚えるのですが、これはどんな症状なのでしょうか。
A 太もも裏側の筋肉を総称してハムストリングスといいます。おそらくこの筋肉がこわばって症状を出しているのだと思います。一般的に、太ももの筋肉は表部と裏部で筋肉の緊張度が異なっており、裏側の筋肉のほうがこわばりやすくなっています。とくに、ランニング初心者はハムストリングスの筋肉が十分に鍛えられていないことが多いため、太もも裏の症状に悩まされることが多いと思われます。
Q たしかに、ちょうどハムストリングスを鍛えはじめたタイミングで違和感を覚えるようになりました。
A そういった時期こそ注意しなければなりません。「フルマラソンを4時間以内で完走する」といった高い目標を達成するには、ハムストリングスを鍛えるトレーニングは必須です。私の場合、練習のメニューに坂道ダッシュを取り入れて、集中的にハムストリングスを鍛えるようにしました。しかし、特定の筋肉を短期間で鍛えようとすると、当然筋肉にかかる負担が増し、筋の緊張度が強まりこわばりやすくなります。
それを予防するには、鍛えた筋肉を柔らかくしなやかに保たなければなりません。練習前後に柔軟体操やストレッチをこまめに行い、硬縮した筋肉を伸長するようにするといいでしょう。ひとつの基準として、立位で身体を前屈させた際、指先が床につかないようだと要注意です。また、以前に比べて身体が硬くなったと感じる場合も筋肉がこわばっている恐れがあります。
Q すでに違和感が生じている場合、どうすれば改善できるのでしょうか。
A ハムストリングスは大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋という3つの筋肉で構成されており、どの筋肉がどのような状態になっているのかを的確に判断できなければ、即効性のあるケアは望めません。筋肉専門の治療院で施術を受けて頂ければ、痛みや違和感を短期間で改善できると思います。異常を感じたら筋肉専門の治療院に足を運ぶこと、それが痛みの慢性化を防ぐ最善の方法です。