今月号の痛みの相談は40代のランナーの男性から。「鼠径部が痛む」というものだ。はたして、この痛みにはどのように対処すればいいのだろうか。さっそく、ソフィア整骨院の古川ぶんと先生に聞いてみた。
Q 趣味でジョギングをしているのですが、最近、股関節のつけ根が痛むようになりました。知人に相談したところ、グロインペインシンドローム(鼠径部痛症候群)ではないかといわれたのですが、これはどのような症状なのでしょうか。
A グロインペインシンドロームとは股関節周辺の痛みの総称です。その原因の多くは股関節周囲の筋肉のこわばりによるもので、サッカー選手やランナーによく見られる症例です。病名だけ聞くと大変な症状のように思われますが、あくまでも筋肉のこわばりが痛みの原因なので、筋痛症に精通している先生に診ていただくことが先決です。また、痛みや違和が生じたら激しい運動は避けてください。
Q 安静にしているつもりですが、痛みが長引いているように思います。どうしてでしょうか。
A グロインペインシンドロームは、一般的に治りにくいケガのひとつとされています。しかし、積極的かつ的確な筋肉治療を行えば、比較的早期に症状を改善することができます。ただし、筋肉のケアが行き届いていないと痛みが長引いてしまうことがあります。股関節の筋肉は厚みがあり体の深層に位置するので、できるだけ早く筋肉治療の専門家に診てもらうのが賢明です。
Q ストレッチは痛みを抑えるのに有効でしょうか。
A ストレッチは痛みの予防には効果的ですが、すでに痛みが発症している場合は筋線維をさらに傷めてしまう恐れがあるので注意してください。痛みが生じているときは、無理にストレッチをしないほうがいいでしょう。実際、痛みを我慢してストレッチを続けた結果、痛みが固着し難治化してしまったケースもありました。症状が治まったら、痛みの予防として運動の前後にストレッチする習慣を身につけ、柔軟性のある筋肉をつくっていくようにしてください。